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カードローンの返済を延滞したら
延滞 とは、支払いや納入が決まった日を越えて滞ることを言います。
カードローンで、返済期日を過ぎても支払いが行われない場合は、一般に延滞として扱われます。
約定返済日に、口座が残高不足で引き落としが出来ない場合は、金融機関の保証会社や貸金業者から、入金を催促するハガキが届きます。
業者によっては、電話での催促が来ることもあります。
また、延滞の結果、長期間に渡って返済が実行されない場合は、新たに借り入れが出来なくなることがあるため注意が必要です。
基本的には、数日程度であれば、支払いが遅れてもその後きちんと返済をすれば問題ありません。
ただし、常習的に何度も延滞を繰り返した場合は、たとえ短期間であってもカードローン会社から新規借入をストップされる場合があります。
通常、2~3回程度であれば、大丈夫だと言われていますが(カードローン会社によって判断は異なります)、当然、延滞はしないに越したことはないため、返済期日には口座に入金しておくようにしましょう。
予め延滞することが分かっている場合は、事前にカードローン会社へ連絡を入れておいた方が良いでしょう。
また、延滞をした場合は、元本に対して遅延損害金がかかります。
注意しなければいけないのは、約定返済額とは別に遅延損害金が必要になるという点です。
延滞をすれば、本来、支払う必要のないお金を払うことになるため十分注意して下さい。
延滞と遅延と滞納の違い
延滞とよく似た言葉に、「遅延」と「滞納」があります。
一般的に、同じような意味合いで使われることが多い言葉ですが、これらの違いはどのようなものなのでしょうか?
それぞれの言葉の意味を理解することで、その違いを見ていきましょう。
- 延滞 … 物事が順調に進まないで、とどこおること。遅滞。淹滞(えんたい)。
- 遅延 … 予定された期日や時間におくれること。また、長引くこと。
- 滞納 … 納めるべきものを、定められた期限を過ぎても納めないでいること。
以上が、それぞれの言葉を辞書で調べた結果です。
延滞
「延滞」は、物事が順調に進まず滞った状態のことを指します。
延滞は、遅れることを概念的に捉えた言葉であると解釈することが出来ます。
遅延
「遅延」は、より具体的で、前もって特定されている期日や時間に遅れるという、時間的経過を意味する言葉として用いられます。
滞納
「滞納」は、税金滞納や家賃滞納、携帯料金滞納など、本来納めるべきお金の支払いを、所定の期日を過ぎても納めていない事実を表す場合に使用されます。
そのため、お金を借りる行為(キャッシングやカードローン)での返済に使用するよりも、税金や料金などの支払いに使用する方が適切だと言えます。
事実、「滞納」という言葉が、金銭消費貸借で使われるのは稀なことです。
「延滞」は、遅れるという状況を総体的に表す言葉であり、「遅延」や「滞納」を包括する言葉だと考えると分かりやすいかもしれません。
当サイトでは、基本的に、返済が遅れることを意味する言葉を「延滞」で統一しています。
ただし、言葉の意味にとらわれ過ぎるのも考え物なので、「延滞」も「遅延」も返済が遅れることだと思っておけば問題ないかと思います。
信用情報機関への登録時の違い
ただし、信用情報機関に登録される場合は、「延滞」と「遅延」の扱いが違ってきます。
返済期日に遅れると、その事実は必ず信用情報機関に登録されます。
信用情報機関での両者の扱いとしては、遅れた日数の違いで区別しているようです。
通常、数日返済が遅れた場合は、「○日遅延」などと表記されることが多いようです。
一方、返済が長期に渡って遅れた場合(61日以上や3ヶ月以上)は、「○日延滞」などと表記されることが多いようです。
この例で見た場合、「遅延」は短期間、「延滞」は長期間だと定義することが出来ます。
では、この点を踏まえて、延滞の違いを見ていきましょう。
延滞の種類
キャッシング・カードローンにおける延滞は、大きく「短期間の延滞」と「長期間の延滞」に分けられます。
両者の違いについては、下表の通りです。
短期間の延滞 | 長期間の延滞 | ||
---|---|---|---|
延滞期間 | 60日未満 | 61日以上、3ヶ月以上 | |
信用情報機関 | 表記 | 遅延 | 延滞 |
異動の有無 | なし | あり (いわゆる金融ブラック) | |
登録期間 | 6ヵ月 | 5年間 |
短期間(60日未満)の延滞の場合、信用情報には、返済遅れを意味する「A」という表記が記録されます。
この場合は、信用情報に「異動」として登録されることはありません。
2、3日の延滞であれば、あまり心配することはありません。速やかに返済口座に入金をして、支払いを済ませて下さい。
しかし、長期間(61日以上、3ヶ月以上)の延滞をした場合は、信用情報に「異動」として登録されることになります。
では、ここで言う「異動」とはどういったものなのでしょうか?
「異動」を含め、個人信用情報について理解をしておきましょう。
信用情報とは
信用情報(個人信用情報)とは、ローンやクレジットの契約や申し込みに関する客観的な取引事実を記載した情報のことを言います。
この信用情報は、新規で申し込みがあった場合に、カードローン会社が申込者の信用を判断するために参考とする資料です。
また、顧客の支払状況や借入残高、取引履歴などを把握する目的でも利用されます。
異動とは
信用情報における、「異動」情報とは、個人信用情報機関の「返済状況」の項目にネガティブ情報(金融事故情報)として登録されることを言います。金融用語では「事故情報」と呼ぶ場合もあります。
また、正式な名称ではありませんが、この状態を俗に「ブラックリストに載る(金融ブラック)」と言います。
「異動」として登録される行為については以下のようなものがあります。
異動 | 内容 |
---|---|
延滞 | 約定返済日から61日以上、もしくは3ヶ月以上、返済が滞った場合。 |
債務整理 | 任意整理、個人再生、特定調停、自己破産などの債務整理を行った場合。 過払い金返還請求を行った結果、お金が返ってきたが、それでも債務が残った場合。※1 |
代位弁済 | 契約者本人が返済不能となった結果、保証契約に基づき、契約者本人に代わって保証会社や連帯保証人から返済を受けた場合。 |
強制解約 | クレジットカードの返済を長期間に渡って延滞した結果、カード会社に返済能力がないと判断されて、強制的に解約させられた場合。 |
※1 過払い金返還請求を行ったことで、債務がゼロになり、なおかつ支払い過ぎたお金が返還された場合は、信用情報機関に「異動」として登録されることはありません。
2010年までは「異動」として登録されていましたが、金融庁の見解により、その扱いは大きく変わりました。
金融庁の見解については、以下の通りです。
「信用情報とは支払い能力に関する情報であり、返還請求の有無は信用情報に当たらない」
個人信用情報機関に「異動」情報として登録された場合は、キャッシングやマイカーローン、住宅ローンなどの個人向けローンや、クレジットカードの審査時に深刻な影響を及ぼすことになります。
ローンや、クレジットカードの申し込みを受けたローン会社・カード会社は、個人信用情報機関から信用情報を取り寄せて、申込者の情報を確認します。
取り寄せた申込者の信用情報に、「異動」という事故情報を意味する記載を確認した場合は、その申込者を不適格と判断するため、否認の対象となります。
審査否認という結果に例外はありません。
たとえ、別の会社に申し込んでも、一律同じ結果となります。
延滞の結果「異動」となった場合、その情報を消すためには、待つという方法以外にありません。
具体的には、事故情報が登録された翌日から、5年間を経過しないと消えることはありません。
つまり、ブラック登録をされると5年間は新たにローンを組んだり、クレジットカードを作ることは不可能となります。
長期間の延滞をした場合、このような重いペナルティが課されることになります。
なぜ重いペナルティなのか?
ブラック登録されることがなぜ重いペナルティかというと、今後、5年間は消費者金融や銀行などから新たに融資を受けることが出来なくなるからです。
新たにお金を借りようと思った場合、家族や身内以外では、グレーな中小零細の消費者金融やヤミ金と呼ばれる違法業者から借りる以外に方法はなくなります。
このように延滞は、信用情報に影響するため、くれぐれも注意しましょう。
また、短期間の延滞でも、ケースによってはブラック登録を受ける可能性があります。
先の説明で、「短期間の延滞はあまり心配することはない」と書きましたが、短期間の延滞であっても、何度も繰り返す場合は、延滞の常習者であると見なされてしまう場合があるため注意が必要です。
具体的な回数は、金融機関によって異なるため、はっきりと述べることは出来ませんが、間隔を空けずに2回以上の短期延滞(2~3日程度)を繰り返すのは避けた方が良いでしょう。
また、1年間に3回以上の短期延滞があった場合も、頻繁に返済が遅れる人だという印象が付くため、信用を下げることになります。
このようなケースの場合、信用情報に事故情報として載ることはなくても、その会社内でブラックリスト化される可能性があります。これを俗に社内ブラックと言います。
一度社内ブラックになると、最悪の場合、今後その会社で取引をすることが出来なくなる場合があるため注意して下さい。
金融取引において、信用はなによりも重要なポイントとなります。
信用情報にキズをつけることのないように、可能な限り延滞は避けるようにしましょう。
そして、この信用情報は、個人信用情報機関と呼ばれる組織が収集・管理をしています。
個人信用情報機関とは
個人信用情報機関とは、個人の信用情報を収集、管理、提供、開示を行う機関です。
日本の個人信用情報機関には、以下の3機関が存在します。
日本信用情報機構(JICC)
日本信用情報機構(JICC)とは、改正貸金業法で定められた『指定信用情報機関』に指定されている日本の信用情報機関です。
JICCは、貸金業者系の信用情報機関であり、加盟員の約65%が消費者金融会社で構成されています。また、消費者金融会社の約80%が加盟しています。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)とは、消費者信用の円滑化等を図るために、「一般社団法人全国銀行協会(全銀協)」が設置、運営している個人信用情報機関です。
主に銀行などの金融機関が加盟している団体で、銀行での個人向け融資(カードローン、住宅ローンなど)や、加盟する銀行系クレジットカードの情報などを管理しています。
会員は、一般会員(全銀協に正会員として加盟している銀行)と特別会員があります。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)とは、割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関です。
クレジット会社の共同出資で昭和59年に設立され、消費者ローンや割賦販売など、クレジット事業を行う会社(信販会社を含む)を主な会員としています。
これらの3機関が保有する個人信用情報は、開示請求をすることで誰でも取り寄せることが出来ます。
JICC・KSC・CICの三者間で異動情報(金融事故)や、申告情報が発生した場合は、CRINと呼ばれるネットワークで共有されます。
CRIN(クリン)とは
CRIN(クリン)(Credit Information Network)とは、各信用情報機関が保有する信用情報のうち、異動情報や本人申告情報(盗難や紛失など)を共有する信用情報交流ネットワークです。
CRINは、消費者への過剰貸付の防止や、多重債務者の発生防止を目的として、自主的運用に基づいて運営されています。
CRINが共有する情報の内訳は、下表の通りです。
異動情報 | 延滞に関する情報 |
---|---|
本人申告情報 | 身分証明書(免許証や保険証など)の紛失・盗難などに関する情報 |
異動情報
異動情報では、利用者の延滞に関する情報が登録されています。
約定返済日から61日以上、もしくは3ヶ月以上の延滞をした場合は、異動情報として登録されます。
本人申告情報
一方、本人申告情報では、身分証明書の盗難や紛失に関する情報を共有しています。
身分証明書には、免許証(運転免許証、船舶操縦免許証など)、健康保険証、個人番号カード(マイナンバーカード)、パスポート、特別永住者証明書、外国人登録証明書、公的機関が発行した身分証明書などが該当します。
これらの身分証明書を紛失・盗難した場合、第三者がそれを利用してキャッシングを行うなど、悪用される危険性があります。
このような事態を防ぐために、CRINでは、本人申告情報を共有しています。
万一、身分証明書を紛失したり盗難に遭った場合は、各信用情報機関に連絡し、その旨を申告して下さい。
また、JICCとCICの2社は、FINE(ファイン)という情報ネットワークを通じて、「交流」と呼ばれる情報共有を図っています。
FINE(ファイン)とは
FINE(ファイン)(Financial Information Network)とは、貸金業法における指定信用情報機関制度に基づいて運営されている、相互交流ネットワークのことを言います。
相互交流は、JICCとCICとの間で行われており、CRIN(クリン)と同様に利用者への過剰貸付や多重債務の防止を目的として運営されています。
ただし、CRINとFINEには交流する情報に大きな違いがあります。
CRINは、異動情報と本人申告情報のみの交流でしたが、FINEは、法律に基づいて全ての会員情報を交流しています。
FINEが出来た背景には、貸金業法に盛り込まれた総量規制が関係しています。
総量規制とは、個人の借入総額を、原則、年収の3分の1までに制限する仕組みのことを言います。
消費者金融会社が主な会員であるJICCと、信販会社が主な会員であるCICは、どちらも貸金業法の適用を受けるため、その融資は総量規制の対象となります。
そのため、他社での借入残高も審査の対象となります。
CRINでは、それに対応するには不十分だったため、より詳細な情報を共有できるようにFINEというネットワークが構築されました。

信用情報交流ネットワーク相関図
支払いの催促・督促
カードローンの返済が遅れた場合は、銀行の保証会社・消費者金融会社から、催促もしくは督促が来ることになります。
返済期日に口座の残高がなかったことで返済が滞ると、まずは支払いを促す督促状が自宅に送られてきます。
督促状とは、期限内に料金が支払われていなかったので、書面に記した期間までに入金して下さいという旨が記載された書類です。
この督促状を確認し、直ぐに返済口座へ所定の額を入金すれば問題ありません。
督促状を無視し続けると、文面の内容が厳しいものに変わってきます。
また、業者によっては、支払いの催促を電話で行う場合もあります。
さらに無視をし続けると、法律上の「期限の利益の損失」となるため、債権者は債務者に対して一括請求することが出来ます。
通常は、債権者による裁判所での手続きに移行することになり、場合によっては債務名義を取得されることがあります。
債務名義を取得されると、強制執行により差し押さえが可能となります。
この部分については、かなり重要なポイントのため、別ぺージで詳しく説明していきます。
ちなみに、銀行や大手消費者金融であれば、長期間の延滞をした場合でも、一昔前のような厳しい取り立てが行われることはありません。
遅延損害金
カードローンの延滞で忘れてはいけないのは、遅延損害金が発生するということです。
約定返済期日に返済が遅れた場合は、その遅れた日数に応じてカードローン会社に迷惑料を支払う必要があります。この迷惑料が遅延損害金です。
遅延損害金については、出来るだけ詳細な説明をしていこうと思いますので、別ぺージでの解説を予定しています。
そのため、ここでは、軽く触れるに留めておきます。
約定返済日を1日でも遅れると、原則、遅延損害金利が発生します。
遅延損害金は、別名「遅延利息」とも呼ばれます。
カードローンの遅延損害金利は、銀行、消費者金融を問わず、通常の利率よりも高い年利20%前後に設定されています。
遅延損害金は、約定返済額とは別にかかってくるため、延滞が長期化した場合は、少ない借入額であっても膨大なものになる可能性があります。
まとめ
このように、カードローンの返済を延滞すると、ブラックリストや遅延損害金といった大きなデメリットが生じることになります。
覚えておいて貰いたいのは、延滞は「百害あって一利なし」ということです。
もし、延滞が長期化しそうな場合は、毎月の支払額や返済期間を見直すようにして下さい。
また、予め延滞することが分かっている場合は、返済が遅れる旨を、必ず担当者に伝えて下さい。
収入面で変化があって、今後の返済も困難な場合は、その事実も相談しておくことをおすすめします。
返済困難という事実を伝えることで、場合によっては、月々の負担を軽減してもらえる場合もあります。
さらに、根本的な問題解決をしたい場合は、借金減額や将来利息のカットなどをローン会社と交渉する、債務整理の一つである「任意整理」を視野に入れる必要があります。
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