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総量規制とは
総量規制 とは、貸金業法に基づいて、個人が貸金業者から借り入れ出来る額の総額に制限が設けられる仕組みのことです。
具体的には、個人の借入総額が、原則、年収等の3分の1までに制限されます。
借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新規の借入れを行うことが出来ません。
総量規制のポイント
総量規制を理解する上で押さえておくべきポイントは、以下の4点です。
- 貸金業者が対象となる
- 借入できる金額は、年収の3分の1まで
- 一定額以上の借り入れには収入証明書が必要
- 個人の借り入れが対象となる
貸金業者が対象となる
総量規制は、消費者金融会社やクレジット会社などの貸金業者に対して適用されます。
カードローンで総量規制の対象となるのは、消費者金融カードローン、信販系カードローンなどです。
そのため、銀行や信用金庫などの金融機関は、総量規制の対象外となります。
借入できる金額は、年収の3分の1まで
貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新たな借り入れをすることは出来ません。
2010年6月18日に、総量規制を盛り込んだ改正貸金業法が完全施行されました。
この規定は、貸金業法に基づいて、貸金業者の過剰貸付けを抑制するためのものです。
一定額以上の借り入れには収入証明書が必要
一定額以上の借り入れの際には、収入証明書の提出が必要になります
一定額以上の借り入れとは、以下の通りです。
- 自社からの貸付残高が50万円を超える貸付けを行う場合
- 複数の貸金業者からの貸付けの総残高が100万円を超える貸付けを行う場合
これらの条件に当てはまる場合は、収入証明書を提出する必要があります。
また、貸金業者によっては、上記のケースに該当しない場合でも、提出を求められる場合があります。
その他のも、総量規制には、「例外」と「除外」があります。これらの対象外となる取引については、後述していきます。
個人の借り入れが対象となる
総量規制が適用されるのは、あくまでも個人の借入です。
そのため、法人による借入については、総量規制が適用されません。
総量規制 の例
年収等とは、個人の年間の給与およびこれに類する定期的な収入の金額を合算した額のことを指します。
複数の貸金業者から借入をしている場合は、貸金業者に全ての合算した金額が、年収等の3分の1を超えるかどうかチェックされます。
具体的には、信用情報機関から、申込者の取引履歴が記載された個人信用情報を取り寄せ、参照することで確認します。
この時、既に借入総額が年収等の3分の1を超えていた場合は、新たに借り入れをすることは不可能となります。
では、例を挙げて見ていきましょう。
例えば、年収300万円の方が、貸金業者から借り入れ可能な金額は、以下の通りです。
3,000,000(円) ÷ 3 = 1,000,000(円)
総量規制が適用された場合、上記のケースでは100万円が上限となります。
また、複数の貸金業者から借入れがある場合でも合計100万円が上限となります。
総量規制 の例外と除外
総量規制の適用がない貸付けには、例外と除外があります。
例外貸付け
例外貸付けは、借入残高が年収の3分の1を超えていてる場合でも例外的に借入れすることができます。
ただし、その残高は総量規制の借入残高に加算されます。
例外貸付には、以下のようなものがあります。
- 借換えローン
- 緊急医療費貸付け
- 特定緊急貸付け
- 個人事業者への貸付け
- 配偶者と合算して年収合計の3分の1を超えない貸付け
- 新たに事業を開始するために必要な資金の貸付け
総量規制では、「個人顧客の利益の保護に支障を生じることがない契約」は例外とされています。
低金利のローンに借り換えることで、毎月の負担額や総返済額が減少する場合や、急な病気で医療費が必要になった場合は、例外として認められています。
配偶者貸付
配偶者と合算して年収合計の3分の1を超えない貸付けは、配偶者貸付と呼ばれ、総量規制の例外とされています。
配偶者貸付では、配偶者の同意と配偶者(夫婦関係)であることを証明する書類を提出する必要があります。
例えば、夫の年収が500万円、妻の年収が100万円の場合は次の通りです。
(5,000,000(円) + 1,000,000(円)) ÷ 3 = 2,000,000(円)
つまり、妻は夫(配偶者)の年収と併せて、上限200万円の借入れが可能です。
ただし、借り入れの際は、夫の同意と住民票など夫婦関係を証明する書類の提出が求められます。
また、このケースで、妻が200万円の借入れをした場合は、夫の貸金業者からの借入れが制限されます。
ただし、配偶者貸付に対応していない金融会社もあるため、申し込む際にはよく確認しておくことをおすすめします。
除外貸付け
除外貸付けとは、総量規制の対象とならない貸付けのことを言います。
借入残高が年収の3分の1を超えている場合でも借り入れをすることができ、その残高も総量規制の借入残高に加算されません。
除外貸付には、以下のようなものがあります。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 高額療養費の貸付け
- 有価証券担保貸付け
- 不動産担保貸付け(居宅以外)
ただし、貸付が受けられるかどうかは、貸金業者ごとの審査基準によります。
たとえ総量規制の条件を満たしている場合や、総量規制の除外や例外となる貸付であっても、借り入れが出来ないことがあるため注意して下さい。
貸金業法とは
貸金業法とは、1983年5月13日に公布、同年11月1日に施行された、貸金業者を規制するための法律です。
旧称は「貸金業の規制等に関する法律」であり、「貸金業規制法」または「貸金業法」の略称が用いられていましたが、改正に伴い、2007年12月19日より、正式名称が「貸金業法」となりました。
貸金業法では、事業登録や業務に関する諸規制、貸金業務取扱主任者の選任、業界団体としての「日本貸金業協会」の設立などが定められています。
また、改正貸金業法では、総量規制の他に、配偶者の同意や一定額以上の借入時に証明書の提出、信用情報の登録の義務化、上限金利の引下げなどが盛り込まれています。
貸金業法が改正される前は、過剰融資の問題や、消費者金融会社やクレジット会社の審査基準の不明確さ、貸付時の高金利(かつての出資法が定める年利29.2%での貸付)などが問題視されていました。
しかし、貸金業法が改正されたことで、これらの問題は概ね是正されました。
総量規制の対象となる貸金業者
総量規制の対象となるものについては、以下の通りです。
- 消費者金融
- 信販会社
- クレジットカード会社
- 事業者金融
- リース会社
- 損害保険会社
- 不動産関連金融会社など
総量規制は、貸金業者による貸付が対象となります。
貸金業者とは、事業者や消費者を対象に金銭を融資する業者のことを言います。
貸金業者は、預金業務を行う金融機関とは区別されており、一般的にはノンバンクと呼ばれます。
また、貸金業を営む場合は、貸金業法により貸金業登録が義務付けられています。
貸金業登録を行った業者は、財務局や都道府県知事により、貸金業登録番号が交付されます。
貸金業登録番号は以下のように表記されます。
「関東財務局長(3)第01234号」 「東京都知事(1)第12345号」
貸金業者は、必ずこの登録番号を広告やサイトなどに掲載しなければいけません。
中には、登録番号を掲載せず不当に金銭の貸付を行う、いわゆる闇金融と呼ばれる違法業者がいるため、十分注意して下さい。
また、番号や会社名を詐称する業者も存在します。
そのため、貸金業者を利用する場合は、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス 」を利用して、事前に正規の貸金業者であることを確認しておきましょう。
総量規制の対象外となる金融機関
総量規制の対象外となるものについては、以下の通りです。
- 普通銀行(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、ゆうちょ銀行)
- 長期金融機関(信託銀行)
- 中小企業金融専門機関(信用金庫、信用組合、労働金庫、商工中金)
- 農林漁業金融機関(農協(JA)、漁協)など
銀行をはじめとする金融機関は、総量規制の適用範囲外です。
金融機関とは、「貸付業務」の他に「預金業務」も行うなど、金融取引に関する業務を営む組織のことを言います。
貸金業法が適用される貸金業者とは異なり、金融機関は、銀行法・信用金庫法等の法律が適用されます。
総量規制と銀行カードローン
総量規制を含む貸金業法の適用範囲は、貸金業者に限られます。
そのため、貸金業者である消費者金融カードローンは、総量規制の対象となります。
本来貸金業者とは区別されている銀行の貸付は、貸金業法の対象ではありません。
銀行などの金融機関は、銀行法という別の法律が適用されます。
現在、銀行法では、総量規制の規定はありません。
ただし、2017年現在、銀行カードローンの過剰融資の話題が取り沙汰されているという実情があります。
そのため、今後は自主的な判断に基づいて抑制されていくものと思われます。
まとめ
総量規制は、貸し手である貸金業者を規制するための法律ですが、借り手の借り過ぎを防止するためのものでもあります。
そのため、カードローンを利用する場合は、借り過ぎに対して自主的な抑制をかける必要があります。
くれぐれも、借り過ぎには注意して、節度を守って計画的に利用することを心がけて下さい。
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